談話会 | 2020年度

談話会 | 2020年度

第592回
題目Title: EHTによるブラックホールの撮像と今後の展望
講師Speaker: 本間希樹 (国立天文台 水沢VLBI観測所)
日時: 1月13日(水)午後3時30分
Date: Wednesday, Jan 13th, 2021 starting at 3:30 p.m.
場所: ZOOM
Place: ZOOM
言語: 日本語   
Language: Japanese
概要Abstract:
Event Horizon Telescope(EHT)は、国際協力により地球規模のミリ波VLBI観測網を構築し、ブラックホールの詳細な撮像を目指す国際プロジェクトである。2019年4月、EHTプロジェクトの初期成果として、楕円銀河M87の中心にある巨大ブラックホールの写真が公開された。
その画像には、光子球に相当するリングとブラックホールシャドウが写っており、M87の中心部に太陽の65億倍の質量を持つ巨大ブラックホールが存在することが明らかになった。本講演では、EHTの2019年の初期成果について解析手法や画像から得られるM87のブラックホールの描像などについて紹介するとともに、その後の進捗および今後の展望についても述べる。

第591回
題目Title: 星・惑星系形成領域のアストロケミストリー
講師Speaker: 相川佑理(東京大学)
日時: 8月4日(火)午後3時30分
Date: Tuesday, Aug 4th, 2020 starting at 3:30 p.m.
場所: ZOOM
Place: ZOOM
言語: 日本語   
Language: Japanese
概要Abstract:
ALMAではダスト連続波で0.03”, 分子輝線で0.1”に迫る高い空間分解能が達成されている。これは近傍の低質量星形成領域でそれぞれ5 au, 15 auに相当する。輝線観測は連続波に比べて長時間積分が必要であるが、ガスの速度構造や分子組成の解明に不可欠である。現在、ALMAでは原始星周囲での円盤形成やガス降着が観測されているが、そこでは同時に昇温などに伴う急激なガス分子組成の変化も起きている。分子組成とその変化を理解することは、惑星系の材料となる円盤の初期組成を解明する上で重要なだけでなく、輝線観測から星周構造をよりよく読み解く上でも有用である。一方、原始惑星系円盤内でも現在までに23種の分子が検出されている。理論的に予想されている円盤内の分子組成分布や光学的厚さの異なる輝線を利用することで、円盤の3次元的な構造や電離度、スノーラインの位置などを調べる研究も行われている。
講演では、これら星・惑星系形成領域の観測と、その基礎となるアストロケミストリーの理論的研究について解説する。