学部生・受験生向け | 課題演習・課題研究
物理科学課題演習 C
C1 数値計算・シミュレーション
前期において、計算機に関する基礎的な技術・知識を習得するための演習を行う。数値シミュレーションのような理論的研究はもちろん、観測装置の制御や観測データの処理など観測的研究においても計算機の使用は不可欠である。本演習前半では、UNIX/Linux環境でのグラフや文書作成ソフトの使用法、およびC言語などによるプログラミング法と基礎的な数値計算法を習得する。希望者はさらに、簡単な数値シミュレーションについて学ぶ。本演習後半では理論宇宙物理学を想定し、計算機を用いた簡単な問題演習に取り組む。
後期は、宇宙物理学教室、花山天文台の望遠鏡等を用いて、以下の実習を行う。
C2 観測機器
簡単な観測装置の製作・組み立てを通じて光学の基礎を学ぶとともに、装置を望遠鏡にとりつけて実際の天体からの情報を取り込み、データ解析することにより天体観測の基礎を習得する。光学実験では、レンズの焦点距離計測・フィルターの透過率測定、検出器試験ではノイズレベルとコンヴァージョンファクターの計測を行い、これらの結果の解析を通して一次元および二次元データの処理方法に関しても習得する。
C3 星・銀河の世界
星または銀河などの測光撮像観測を行う。観測・データ解析の手法を学ぶとともに、データからどのような物理量が得られるかを学ぶ。扱う内容としては、星団のヘルツシュプルング・ラッセル図の作成とその解釈、変光星の周期の測定とその物理的解釈、銀河の面輝度分布の法則性を探る、などである。内容は年度によるので、ガイダンスでの説明を参照のこと。宇宙物理学教室屋上の望遠鏡などを用いた観測や、過去に撮像された画像を用いた測定などを予定している。標準的な天体画像処理ソフト(IRAF)の使い方や、C言語でのデータ処理、統計言語Rを用いた現代的な数値データ解析の手法についても学ぶ。
C4 活動する太陽
最も身近な恒星である太陽表面では、黒点領域近傍で突如として大量のエネルギーが解放されるフレア現象や高速でガスが噴出する爆発現象が発生する。これらの太陽活動現象は、地球大気や地球磁気圏にも影響を与えている。この演習では、この太陽活動現象の可視光分光観測、解析、および最新の人工衛星観測データ解析も援用して、電磁流体力学的な物理量を求め、活動現象の成因を探る基礎を習得する。観測は附属天文台で実施する。
なお,課題演習Cと特に関連の深い講義科目は天文学概論と観測天文学である。
物理科学課題研究 S
S1 装置開発
可視光から赤外線にわたる観測装置が、すばるやせいめい望遠鏡をはじめとする最先端の観測天文学で用いられている。これらの開発に必要な光学、エレクトロニクス、機械工作、真空・冷却、データ取得などに関する基礎的な知識と技術を学び、研究に取り組む。装置を試作し、データ収集を行ってみる。
【履修要件】特になし
S2 太陽物理
本課題研究では、「太陽観測」と「太陽・宇宙プラズマ理論」とについて、適宜合同で輪講・研究を進める。太陽や宇宙磁気プラズマ現象の基礎物理過程を明らかにするという観点から、初めに基本的な文献を講読した後、具体的な研究をすすめる。太陽観測では、表面の活動現象を具体的に解析出来る唯一の恒星である太陽について、その動的な大気構造と活動現象に着目し、飛騨天文台望遠鏡や人工衛星搭載望遠鏡などで取得された太陽活動現象の最新の観測データを解析する。太陽・宇宙プラズマ理論では、太陽をはじめとする宇宙でみられるプラズマ電磁流体現象について、数値シミュレーションを実施して解析する。
【履修要件】宇宙物理学の基礎となる数学および物理学を習得しておく必要がある。
S3 恒星とブラックホール
本課題研究では、以下のいずれかまたは両方を柱として研究を進める。(1) 最新のX線天文衛星のデータを用いて、ブラックホールなどコンパクト天体における降着流や、活動銀河核の構造の研究を行い、X線天文学の基礎を学ぶ。(2) 可視分光観測により、広い意味での恒星の活動現象を調べ、スペクトル解析法を習得する。論文などの講読により基本的知識を修め、その後、実際に観測とデータ解析作業を行う。
【履修要件】特になし
S4 銀河
本課題研究では、活動銀河核に関して最新の論文の輪講と並行して、公開されているアーカイヴデータの解析やせいめい望遠鏡での観測などにより研究を行う。活動銀河核の活動性に関する基礎知識の学習と、大規模データの扱い、観測データの解析手法に関して習得する。
【履修要件】特になし
S5 理論宇宙物理学
研究実習に挑戦することで宇宙物理学の理論的研究の最前線に触れ、研究の手法を学ぶと共に宇宙に対するより深い理解を目的とする。前期において、幅広い宇宙物理学の最先端の知見に触れるため、英文教科書をいくつか輪講する。降着円盤や超新星などの高エネルギー天体物理学、惑星科学、恒星進化などの教科書を受講生の希望も考慮しつつ選択する。後期においては研究実習に挑戦することで宇宙物理学の理論的研究の最前線に触れてもらい、研究の手法を学ぶと共に宇宙に対してより深い理解を得ることを目的とする。トピックは主に当教室の理論分野スタッフがカバーする領域(星・惑星系形成や進化、ブラックホール・ガンマ線バースト・超新星などの高エネルギー現象、降着円盤や電磁流体力学・輻射輸送などの天体物理素過程ほか)となる。こちらのテーマも受講生の希望を考慮しつつ決定している。
【履修要件】特にないが、天文学に関する基礎知識の習得が望ましい。
S6 天体プラズマ物理学
本課題研究では、天体プラズマの理論的課題について、輪講・研究を進める。天体磁気プラズマ現象の基礎物理過程を明らかにするという観点から、初めに基本的な文献を講読した後、具体的な研究をすすめる。研究では、天体でみられるプラズマ電磁流体現象について、関連文献を複数呼んだあと、実際に数値シミュレーションを実施して解析する。
【履修要件】宇宙物理学の基礎となる数学および物理学を習得しておく必要がある。